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認知症施策、「共生と予防」の2本柱 地域の通いの場を拡充 政府、大綱決定
《 18日の関係閣僚会議(画像出典:首相官邸HP)》
政府は18日の関係閣僚会議で「認知症施策推進大綱」を取りまとめた。
大綱は2025年までを視野に入れた政策パッケージ。既存の「新オレンジプラン」に代わる新たな国家戦略だ。安倍晋三首相は席上、「政府一丸となって速やかに実行していく」と述べた。
認知症施策推進関係閣僚会議 資料
□「予防と共生」→「共生と予防」
政府は今回の大綱で、認知症の当事者とともに歩む「共生」と並んで「予防」を大きな柱に位置づけた。誰もがいくつになっても活躍できる社会を作ること、社会的なコストの膨張を抑えていくことが狙いだ。
「予防とは『認知症にならない』という意味ではない」。
そう改めて強調し、「認知症になるのを遅らせる、認知症になっても進行を緩やかにする、という意味」と説明した。「認知症は誰もがなりうるもの。認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指す」とも書き込んだ。
素案の段階では「70歳代での発症を10年間で1歳遅らせる」と掲げていたが、これを数値目標として扱うことはやめた。「やむを得ず発症した人が落第者とみなされてしまう」といった批判を多方面から受けたためだ。
予防を何より優先させていると捉えられないよう、当初は「予防と共生」としていた記載も入れ替えて「共生と予防」に改めた。
□通いの場の参加率、2025年度に8%へ
認知症の予防をめぐっては、運動不足の改善や生活習慣病の予防、社会的孤立の解消、役割の保持などで発症を遅らせられる可能性が、これまでの各国の研究成果で示唆されている。政府は大綱で、こうした取り組みに力を入れていく方針を打ち出した。
具体策の目玉はやはり“通いの場”だ。高齢者の生活圏域でその数を増やし、誰もが気軽に顔を出せる環境を作り上げる構想を描いた。
その実現に向けてKPIも設定。2017年度の時点で4.9%にとどまっている高齢者の参加率を、2020年度までに6%、2025年度までに8%へ引き上げるとした。
このほか、農業や商品の製造・販売、食堂・マルシェの運営などに認知症の人が関われる取り組みを推進すると明記。利用者の社会参加・社会貢献を支える通所介護などを後押ししていく考えも打ち出した。
また、一定の規模を持つ公共交通機関に対し、認知症の人を受け入れる研修などの計画の策定、取り組み状況の報告・公表を義務付ける方針も盛り込んでいる。
配信元:介護のニュースサイト Joint