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食(食べる) / 口腔ケア
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情報更新日 : 2018/07/12 09:00

疾患と口腔ケア

骨粗しょう症やがんの治療の副作用として、口腔内に口内炎や顎骨壊死などのさまざまな症状が現れます。口腔ケアは、その症状の緩和や予防としての役割があります。

また、認知症になると歯をみがくことを忘れたり、拒否をしたり、歯みがきができなくなる人もいます。今回は、治療中及び治療後の口腔ケア、拒否がある場合の対応について説明します。

 

骨粗しょう症と口腔ケア

骨粗しょう症やがんの骨転移などの治療に使われる薬に「ビスホスホネート製剤(BP製剤)」があります。この薬は、抜歯などの歯科治療を受けたときにあごの骨が壊死する副作用が起きるといわれています。副作用があるからといって、この薬の使用を休薬、中止するのではなく、口の中を清潔に保ち、むし歯や歯周病などの歯科疾患の予防をすること、歯科治療を受ける場合は、治療前に歯科医師に服用していることを伝えることが必要です。

骨粗しょう症やがんの治療を受けている人は、特に意識をして、口の中の清潔を保つことが大切です。

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骨粗しょう症やがんの骨転移に使われるBP製剤の主な薬品名

飲み薬:

フォサマック、ボナロン、アクトネル、ベネット、ダイドロネル、リカルボンなど

注射薬:

ゾメタ、アレディア、ビスフォナール、ランマークなど

 

がんの治療と口腔ケア

抗がん剤治療や放射線治療は、正常な細胞にも影響を及ぼし、口内炎(口腔粘膜炎)や味覚障害、口腔乾燥などの症状が現れることがあります。特に口内炎がひどくなると、その痛みで食事や会話が苦痛になり、さらに吐き気などの症状が加わると口腔ケアの妨げになり、口の中の細菌による感染症を引き起こすなど、がん治療そのものにも影響を及ぼすことが考えられます。

がん治療時、口腔内の副作用を最小限にするためには、がん治療前に歯科の検査を受けて治療を開始したら、口の中の清潔を保ち、口内炎の悪化や肺炎などの二次感染を予防することが大切です。

つらい治療を乗り切るためには、健康な口でしっかり食べて、体力を維持することがとても大事です。


治療中の口腔ケア

口内炎がある場合、歯ブラシの毛は「やわらかめ」を、歯みがき剤は刺激の少ないものを選びます。歯みがきができないときは、刺激の少ない洗口剤でうがいをして、口の中の細菌を減らしたり、口臭の予防をしたりして、口の中をさっぱりさせましょう。

また、氷のかけらをなめるだけでも、口の中の痛みや乾燥をやわらげることができます。

口から食べられないときには、点滴などで栄養を補いますが、口を使わないと唾液量が減少し、口腔内の自浄作用が低下しますので、食べていないときにも口腔ケアは必要です。

 

認知症と口腔ケア

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認知症の人の中には、歯みがきの方法が分からなくなったり、歯みがきそのものを忘れてしまったりして、歯みがきをしない人がいます。

介護者が介助しようとしても拒否をするので、なかなか歯みがきができずに困る場合もあります。

口の中を触られたくない、何をされるのかわからないなどの理由で、拒否をすることが多いようです。このようなときは、無理をしないで、まずは信頼関係を築いてから、その時の気持ちに合わせて行います。

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口腔ケアのポイント 

  • 体に「触れられる」ことに慣れてもらいます

口はとてもデリケートな部分ですので、いきなり口の中に歯ブラシを入れるのではなく、手や腕のマッサージ、肩もみ、顔のマッサージ(唾液腺マッサージなど)の順に、顔から離れている部分から体に触れるようにします

  • 歯みがきをするときに、気持ち良さを感じてもらいます

歯みがきを嫌がる人に強引に歯みがきをしようとすると、介護者の手に力が入り、口の中を傷つけたりします。そうすると歯みがきは痛い、嫌だという思いが残ってしまい、歯みがきができなくなってしまいます。歯みがきをして、気持ち良さが残るように、雰囲気づくりや歯みがきの方法に気を付けましょう。

 

インプラント治療後の口腔ケア・・・・口腔ケアはとても重要!

インプラント治療が普及し、高齢者もインプラント治療をされている方が多くみられるようになりました。インプラント治療後の口腔ケアはとても重要ですが、本人が障害などで口腔ケアが十分にできないと、インプラントの根元に歯垢(プラーク)がたまり、歯肉が腫れたり出血したりするインプラント周囲炎を起こしてしまいます。さらに感染が歯槽骨まで及ぶと、インプラントを支えている土台の骨が溶けて、インプラントがはずれることがあります。

要介護高齢者にインプラント治療をされている方がいる場合は、歯科医師と連携を図り、定期的なメンテナンスやていねいな歯みがきができるように支援をします。通院できない人には、居宅療養管理指導などで、専門的な口腔ケアを受けられるようにしましょう。

 

 

最後に!「食べる支援」から「食べる楽しみの支援」へ!
 

平成18年から介護保険制度の中に介護予防が加わり、その中に口腔機能向上加算が導入されました。すでに10年以上経過していますが、そのサービスを利用されている人はわずかです。その理由として、利用者や家族、介護関係者が口腔ケアの大切さを身近に感じていなかったこと、他の病気や障害を優先した支援を行ってきたことが原因に挙げられるのではないかと思っています。

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しかし、平成30年度の改正で、ケアマネジャーが訪問介護事業者や通所介護事業者と口腔や栄養に関する情報を共有することが明確化されましたので、ケアマネジャーのケアプランに口腔衛生関連のサービスが位置づけられるようになると期待しています。その際には、Ayamuの介護記事「口腔ケア」12回シリーズの内容を参考にしていただければ嬉しく思います。

要介護高齢者の方へ、「食べる支援」だけではなく、「食べる楽しみの支援」ができるようになれば、その人のQOLが改善され、介護予防につながる支援になると思います。

 

 

千羽 富紀子

解説者

千羽 富紀子

ちば ふきこ

主任介護支援専門員・歯科衛生士

歯科衛生士として、財団法人ライオン歯科衛生研究所、東京都中央区日本橋保健所の勤務を経て、介護保険がスタートした平成12年からは介護支援専門員の実務に携わる。平成21年からは、地域包括支援センターにおいて、センター長及び主任介護支援専門員として勤務し、介護予防教室、特に口腔機能向上の啓発に取り組む。また、実務経験を活かし、口腔ケアに関するわかりやすい冊子や介護職向けのDVD 「知っておきたい口腔ケアの基本」の作成、知っておきたい「口腔ケアの働きとケア」、また、高齢者が使いやすい歯ブラシの開発にも携わっている。

著書;知っておきたい口腔の働きとケア   共著 金沢紀子・千羽富紀子
企画・編集;一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会  発行 平成29年2月14日