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認知症 / 介護の現場から伝えたい事
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情報更新日 : 2018/06/28 09:00

奇妙な行動には理由がある

認知症の人のさまざまな行動は、一見奇妙だが考えてみると理解できることが多い。例えば、初期の認知症の人が押入れや引き出しの奥に失禁して汚れた下着を隠す。みつけた家族は、自分の親や配偶者などがそんなことをするのが理解できず、途方にくれる。しかし、あなたが下着を汚してしまったとしたらどうするだろうか。私ならコッソリ捨てるか、人目がないときを見はからって洗濯をする。認知症の人だって同じなのだ。『忘れる病気』だから、「あとで何とかしよう」と隠したことを忘れてしまう。それだけのことなのに、「とんでもないことをしでかした、だから認知症は!」とそしられることになる。


だいぶ病気が進行した段階で起きる行動に『弄便』、便を弄(もてあそ)ぶ行為がある。モノがものだけに、困った行動の筆頭に挙げられる。ではカーテンや壁に便がすりつける、便をこね回す、といった行動はどうして起きるのか。前提には、認知能力が失われていて、便が不潔なものだという感覚を失っていることがある。下着やおむつにくっついているのは気持ちが悪いが、どうしたらよいか判断できない。手についてしまったからカーテンや壁でこすってみた、ということだろう(不潔な話でごめんなさい)。乳児が同じ行動をしたら、「早くきれいにしてあげなくてごめんね」とあやまるに違いない。


介護の仕事を始めて間もないころ、著名な特養ホームの理事長の講演で聞いた話である。便を丸めて几帳面に箱に並べる入居者がいた。いろいろと工夫をしてみたが繰り返し同じことをする。あるときベテランの介護職員が、「おいしそうなお団子ですね、私にいただけますか?」と呼びかけた。これがきっかけになったのか、その後この行動はなくなったという。この女性はかつて和菓子屋を営んでいたそうだ。


口から唾を出して指先でつまみ、床に持っていく行動を繰り返す男性がいた。大工さんの親方だった方なので、『棟梁』と呼んでいたのだが、あるとき見学にみえた方がこのしぐさを見て、「ああ、くわえていた釘を打っているんですね!」と言われた。


もちろん、多種の認知症症候群のなかには確かに理解不能な行動をする病態(医学的にはたいてい説明がつくが)もあるから一概にはいえない。だが、そのような行動を含めて、「フツウの人とは違う、理解できない行動」として片づけるのはやめたい。

 

 

小島 美里

解説者

小島 美里

こじま みさと

NPO法人暮らしネット・えん代表理事

介護支援専門員、認知症介護指導者

学生結婚後、自営業の夫を手伝いながら保育、教育、環境等の地域活動にかかわる

1984年に市議会議員に当選(無党派)
全国に先駆けて女性だけの会派を結成
以後、教育、福祉、環境等の市民運動に参加しながら3期つとめる

1990年全身性障がい者と出会い、介助ボランティアグループ結成

1996年、このグループのメンバーと共に、地域の医療機関で訪問診療など地域との連携に熱心な堀ノ内病院の中に在宅介護部門を創設し、「専門職」としての介護を始める

翌年、認知症専用の『ミニデイホーム コスモスの家」を開設

2003年NPO法人暮らしネット・えん設立
立ち上げに必要な資金を地域の方々の協力による「えん債」でまかなう
この資金集めがNPOらしいと評価を受け、2009年に毎日介護賞グランプリを受賞

現在、ケアプランえん(居宅介護支援、障害者相談支援)、ケアサポートえん(高齢者・がい者訪問介護、移送サービス等)、デイホームえん(認知症デイサービス)、グループホームえん(認知症グループホーム)、多機能ホームまどか(小規模多機能型介護)、えんの食卓(配食サービス)、グループリビングえんの森(高齢者生活共同運営住宅)、研修事業、文化事業、認知症カフェなどを運営