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食(食べる) / 口腔ケア
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情報更新日 : 2018/06/14 09:00

「食べる楽しみの支援」を行うために食事の姿勢・口腔の機能に合った食形態の工夫

誤嚥をしないで安全に食べるためには、口腔の環境を整えるだけでは不十分です。誤嚥をしにくい姿勢の確保や、高齢者の状態に応じた食材選びや調理方法の工夫、自助食器を上手に取り入れるなどの支援も重要です。また、食事の一連の動作は、指や腕がうまく連動しなければ行うことができません。理学療法士・作業療法士や栄養士などの専門職と連携し、その人に応じた支援を行いましょう。

 

正しい姿勢で誤嚥を防ぐ

正しい食事姿勢で食べることは、窒息や誤嚥予防になり、食事摂取量が増えることにもつながります。身体の状態によっては、食事中の姿勢確保が難しい場合もありますが、誤嚥を防ぐには少し前かがみの姿勢が理想的です。座位が保てる人は、ベッドではなくできるだけ椅子や車いすに座り、テーブルで食事をするようにします。
 

椅子に腰かけて食事をする場合

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背もたれのある椅子に深く腰かけ、膝の角度を90度にした状態で、足裏全体を床にしっかりつけます。足で踏ん張れると自然と前かがみの姿勢になります。この姿勢で食事をすると食べ物が気管に入りにくくなり、かむ力も強くなります。椅子の高さや大きさが体に合っていない場合は、床に踏み台を置いたり、背中にクッションを置いたりして調整します。

車椅子で食事をする場合

車椅子に腰掛けて食事をする場合は、フットレストから足を床におろします。フットレストに足を乗せたままでは、足を踏ん張ることができませんので、誤嚥しやすくなります。また、座面の大きい車椅子の場合、のけぞった姿勢になりやすいので、背中にクッションや枕をあてて、姿勢を正しく保つようにします。

ベッド上で食事をする場合

高齢者の身体状況や希望に合わせて、ベッドをギャッチアップして角度を45~80度くらいに保ちます。このとき、腰がずれないようにベッドに沿わせ、隙間ができないようにします。膝は軽く曲げて、膝の裏や足の裏にクッションをはさむと姿勢が楽になります。また、首下から後頭部の辺りにクッションや枕を挟んで、首を前屈させ、誤嚥しないようにあごを引いた状態にします。

 

食器選びも大切

手に麻痺があったり、握力が弱かったりすると思うように食事ができず、食べることがストレスになってしまうことがあります。自分の意思で、自分の手を使って食べることは、食べる楽しみや誤嚥防止にもつながります。

そのために、体の不自由な人でも自分で食事をしやすいよう工夫された「自助食器」があります。専門職(作業療法士など)に相談して、本人の障害の程度に合わせて、「自助食器」を上手に取り入れましょう。
 

握りやすいスプーン・つかみやすい箸

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持ち手部分が握りやすい形や、滑りにくく加工されているスプーンや、箸の先がずれないでつまみやすくなっている箸などがあります。

口に運びやすいスプーン

腕の動きに制限がある人でも食べ物を口に運びやすいように、右手用・左手用にそれぞれ角度をつけてあるスプーンやフォークがあります。

滑りにくい・すくいやすい器

器の底面に滑り止め、皿底に傾斜がついているなど、片手でも食事がしやすい工夫がされています。

※いくつかの自助食器を紹介しましたが、ほかにも多くの種類が販売されています。

 

食事の介助

食べるのに多少時間がかかっても、自分で食べることができるのであれば、介護者はそばで見守りましょう。急がせたりしないで、食べられないときにだけ介助し、楽しく安全に食事をしてもらいます。
 

介護者が座る位置は横に、目線は同じ高さで

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正面からの介助は、圧迫感があるので横から介助します。また、立ったままの介助は、本人のあごが上がり、誤嚥をしやすくなるので、座って行います。

食べ物は、少量ずつ口に入れる

一口の量は多すぎても少なすぎても食べにくいので、一度に口に入れるのは、スプーン半分くらいの量を目安にします。

箸やスプーンは下から近づける

食べ物を下から出されると、顔も自然に下向きになるので、飲み込みやすく、誤嚥防止になります。

飲み込んだのを確認してから、次の食事を運ぶ

前に食べていたものを飲み込んだことを確認してから、次の食事を口に運びます。急いで食べると、誤嚥やのどの詰まりを引き起こすため、注意が必要です。

食事中は、食べることに集中

口の中に食べ物があるときに話しかけられたり、テレビに気をとられたりすると誤嚥する危険があります。

食後の口腔ケアと姿勢

食後は、歯磨きをして口の中を清潔にし、食べたものの逆流を防ぐため、すぐに横にならないようにします。


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かむ機能・飲みこむ機能に応じた食事の工夫

加齢によってかむ機能や飲み込む機能が低下すると、食べものが偏ったり、食べる量が減ったりして栄養状態が悪くなりがちです。また、口の機能に合わない食品を摂取することは、誤嚥や窒息の原因になります。

食べる機能に合わせて食材を選んだり、調理を工夫したりしましょう。工夫次第でおいしく食べることができますので、そのポイントを紹介します。

また、市販の調理された食品を上手に使うのもひとつの方法です。

管理栄養士や栄養士に相談し、指導を受けると良いでしょう。
 

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かむ機能が弱い人

繊維の少ない食品を選び、一口大の食べやすい大きさにして軟らかく加熱します。野菜などは時間をかけて煮ることで、歯ぐきでもつぶせるようになります。かみ切りにくい肉などは隠し包丁を入れたり、たたいたりして調理します。かむ力が弱い人には、刻むと良いと思われがちですが、何でも刻めば良いわけではありません。かたい物をあまり細かく刻むと、口の中でバラバラになるので、食べにくく誤嚥の原因になります。

かんだものをまとめ、のどに送り込む力が弱い人

食材を軟らかく加熱し、片栗粉やとろみ調整食品でとろみをつけたりして、なめらかにします。また、マヨネーズや練りごまなどの油脂類を使うのも効果的です。あんかけ、シチュー、クリーム煮、卵とじなどもおすすめです。

むせやすい人

摂食、嚥下障害のある人にとって、水分が最もむせやすく、危険な食べ物です。そこで、水分のあるものにはとろみをつけると、効果的に水分を摂取することができます。汁ものやソース類にはとろみをつけるといいでしょう。酸味のあるものはむせやすいので、出汁で割って使います。

介護食品の活用

介護食の市販品を選ぶ際の基準がいくつかあります。日本介護食品協議会が定めた規格「ユニバーサルデザインフード(UDF)」、農林水産省が介護食品の公的規格とした「スマイルケア食」、国が表示の許可を行っている特別用途食品などがあります。

介護食品は、かむことや飲み込むことなどの食べる機能が弱くなった人や、栄養状態がよくない人などを対象とした食品です。最近は種類や数も豊富で、スーパーやドラッグストアなどで購入できます。食べやすさや飲み込みやすさだけでなく、食べる楽しみにも配慮されています。要介護者の状態に合わせて、上手に取り入れると良いでしょう。


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千羽 富紀子

解説者

千羽 富紀子

ちば ふきこ

主任介護支援専門員・歯科衛生士

歯科衛生士として、財団法人ライオン歯科衛生研究所、東京都中央区日本橋保健所の勤務を経て、介護保険がスタートした平成12年からは介護支援専門員の実務に携わる。平成21年からは、地域包括支援センターにおいて、センター長及び主任介護支援専門員として勤務し、介護予防教室、特に口腔機能向上の啓発に取り組む。また、実務経験を活かし、口腔ケアに関するわかりやすい冊子や介護職向けのDVD 「知っておきたい口腔ケアの基本」の作成、知っておきたい「口腔ケアの働きとケア」、また、高齢者が使いやすい歯ブラシの開発にも携わっている。

著書;知っておきたい口腔の働きとケア   共著 金沢紀子・千羽富紀子
企画・編集;一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会  発行 平成29年2月14日