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自立支援 / 福祉用具
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情報更新日 : 2018/06/06 09:00

楽しみだった「食事」が苦痛と化した女性に、福祉用具で「嚥下&摂食」アプローチ

Wさん(71歳、女性)は旦那さん(75歳)と2人暮らしです。子供たちはそれぞれ所帯をも持ち、お盆と正月に孫を連れて帰ってきます。そんなある日、Wさんは脳卒中(脳梗塞)で倒れました。


Wさんは脳卒中特有の半身まひ(片まひ)ではなく、両方の上肢にも下肢にも力が入らなくなって歩けなくなったうえ、食べた物を飲み込むことも困難な症状となってしまいました(要介護5)。


Wさんは若いときから食べ歩きが趣味で、子供たちが所帯を持って独立してからは、毎月のように旦那さんと旅行に出かけ、その土地の名物料理に舌鼓を打ち、家に帰ってくるとそれらの料理を再現して、旦那さんと食べることが何よりの楽しみでした。しかし、そんな何よりの楽しみだった食事が、自分で食べることができなくなったうえに、口に食べ物が入るたびに苦しい思いをするという、ある意味地獄のような苦痛になってしまいました。


担当のケアマネさんが、退院してからも通院している病院や、週2回利用しているデイケアの医師やセラピストと密に連絡を取りながら対処していましたが、なかなかうまくいかず、その状況は変わりませんでした。


Wさんは固形物よりも、液状の物を飲み込むことが困難でした。むせてしまい、大好きなプリンもなかなか飲み込めません。1回の食事に3時間以上の時間がかかり、朝ご飯を何とか食べ終わったと思ったら、昼ご飯の時間が来るという感じです。涙目で「もう食べたくない!」と訴えるWさんを、「口から食べることが大切なんだよ。頑張って食べよう。」と毎回励ましながら、旦那さんは一生懸命に食事介助を続けました。


そんなときに私が、このデイケアに関わるようになりました。まずは、担当のケアマネさんや旦那さん、そしてWさんからこれまでの生活の様子を聞き、入院していた病院やデイケアの医師たちから、症状や治療について説明をしてもらいました。その中で、車いすに腰かけ、右上体を少しだけ左側にひねるようにしたうえで、頭部を少し左側に戻すような姿勢にすると、比較的むせることが少なくなることがわかりました。デイケアで色々と試行錯誤し、ヘッドレストが付いた車いすを介護保険でレンタルしてもらうとともに、30種類の大きさやつぼの形が違うスプーンを用意しました。


車いすで最もむせることが少なかった姿勢を取ってもらい、数日間かけて最もむせることが少ないスプーンを30本の中から探りました。その結果、浅めのつぼで口の少し奥の方まで食べ物を運ぶことで、ほとんどむせることが無いことが分かりました。旦那さんにもデイケアに何度か来てもらい、車いすでの姿勢の取らせ方や、スプーンでの食べさせ方をマスターしてもらい、自宅でも実践してもらいました。


その後はもちろん、Wさんは再び食べることが楽しみになりました。

 

 

金沢 善智

解説者

金沢 善智

かなざわ よしのり

所 属:株式会社 バリオン

役 職:代表取締役

部 署:介護環境研究所(代表兼任)

資 格:医学博士、工学修士(建築学)、理学療法士

元 職:目白大学保健医療学部 教授

    弘前大学医学部 助教授

1984 年:理学療法士として病院勤務

1995 年:東京理科大学大学院工学研究科 修了

     弘前大学医療短期大学部 勤務

2000 年:弘前大学 医学部 助教授

2006 年:目白大学 保健医療学部 教授

2009 年:(株)バリオン設立(代表取締役/介護環境研究所 代表)

2012 年:(株)ニチモ 代表取締役社長(バリオン代表取締役と兼任)

2014 年:(株)ニチモ 代表取締役社長(兼任)退任

2016 年:ケアテクノス(株)代表取締役(バリオン代表取締役と兼任)
     現在に至る。

理学療法士として訪問リハビリを行う形で、認知症介護を含む「在宅介護」および「施設介護」に携わる。

福祉用具等を用いた「持ち上げない介助法」を、多くの特別養護老人ホームなどで指導を行い、介護職の離職率を激減させるとともに、弘前大学と目白大学にて約17 年間、介護職などの腰痛を防ぐための福祉用具を用いた介助法などについて教鞭をとる。また、医学と建築学を融合させた「介護環境整備方法(住宅改修)」「バリアフリー技術」についても、実践と研究を行う。

2009 年、教授職を辞し、介護分野で培ったノウハウの社会還元、特に腰痛などで介護職の離職を防ぐことなどを目的に起業する。現在は、全国で、介護施設および在宅介護に必要な知識と技術の向上のための啓発活動(コンサルティング、研修会など)を行う一方で、排泄支援ロボットのメーカーとして、「自動差排泄処理装置」の製作を行っている。

また、介護施設を展開する会社の経営を託され、「兼任」と言う形態で社長に就任する。施設入居者の75%が認知症者であり、認知症者への「接遇」に特化した介護職員の育成を行う。その後、施設および在宅介護の知識と技術向上に関する啓発活動のさらなる必要性を感じ、介護施設の会社を辞し、介護施設の社長経験を生かした「介護施設運営のコンサルティング」を含めた介護分野にて、さまざまな活動も行っている。

社会活動等

1.福祉住環境コーディネータ協会 理事

2.一般社団法人 全国福祉用具専門相談員協会 理事

3.NPO メイアヘルプユー 理事

4.一般社団法人 労災サポートセンター 評議員

5.一般社団法人 福祉住環境アソーシエョン 理事