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自立支援 / リハビリテーション
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情報更新日 : 2018/04/16 09:00

【介護予防とリハビリ⑨ ~高齢者・障害者と災害対策の巻~】

こんにちは! 作業療法士の酒井由香里です。

このコンテンツでは、「介護予防とリハビリ」というテーマで「介護予防」や「介護が必要になった方への対策」を、リハビリの視点も紹介しながらお話しさせて頂きます。

今回のテーマは「高齢者・障害者と災害対策」ついてお話させていただきます。

A.東日本大震災を振り返って・・・

2011年3月11日14時46分東北地方太平洋沖地震によって、東日本に未曾有の災害が発生しました。今でも忘れることができません。この災害によって犠牲になられた方は1万5894名、行方不明の方は2546名(警察庁 2017年12月8日の資料より)、そして7年たった現在「震災関連死」と言われる方は3647名(復興庁 平成29年9月30日時点の資料より)と言われています。

皆さんは震災の発生したあの日、どちらにいらっしゃいましたか?

そして震災後から何か気をつけていらっしゃることはありますか?

ここでは私の体験した3月11日とその後のリハビリ活動から得て感じたことをお伝えしたいと思います(経験したことが多いので…ここでは、かいつまんでお伝えします)。


【3月11日当日】

私は高齢夫婦のマンションの8階にお伺いし、訪問リハビリの最中でした。

揺れがただごとではないことは明らか、すぐに近くのベッドに利用者様と腰かけて、利用者様には手すりにつかまっていただきながら、揺れがおさまるまでいくら待てどもいっこうに地震がおさまる気配がなかったのを覚えています。その後の津波の映像を見て、言葉を失うとともに、地震が起きたその場の状況で、とても驚いたことは

  • 棚に置いてあったランプシェードが3mくらい飛んできたこと(目の前を通過)
  • 食器棚で開閉のロックをしていなかったものは、中のガラス・陶器・食器類が落ちて床面一面に割れたこと

でした。


【震災、その後】

その後、関東の皆様も体験された「計画停電」は記憶に新しいことと思います。

また流通もストップした震災直後から数カ月の間では、以下のことが発生しました。

  • お薬の流通も不足
  • ガソリン供給不足
  • 食糧や水の不足
  • 電気量の調整(計画停電)に伴う体調不良者の増加

私が臨床で携わっていた訪問リハビリでも上記と違わず、普段では経験しないことが起きており、訪問リハビリ時には、より意識した体調確認や介護生活での困りごとなども伺っていました。(訪問車のガソリンもこまめに入れながら・・・)


【被災地でのリハビリボランティアの経験】

6月に日本作業療法士会災害支援ボランティア第7次隊に参加させていただき、岩手県釜石市・大槌町へ伺いました。

この釜石地区の災害対策本部は今でも「釜石モデル」といわれ、災害医療において非常に統率がとれていた地区だったと感じます。大槌町は町長も犠牲になられており、地震・津波、そしてその後の被災者支援でも大変な地域でありましたが、この災害対策本部の指揮のもと(釜石地区と大槌町は隣接した地区でしたので管轄に入っていました)

  • お薬手帳の活用

カルテがわりに活用し、代わる代わるやってくる医療者・医療ボランティアの過剰医療の抑制・適切な状態把握に貢献)

  • 保健師と災害支援専門職チームの連携による要経過観察者のフォロー

上記を経験しました。私は初めて訪れた津波の被災地で一生懸命に生きる方、支援する方と時間を共にし、一般避難所を中心に伺いましたが、そこには高齢者・障害者の方も避難されており(中には福祉避難所のかたもいらっしゃいますが、ご家族の方と過ごすとなると一般の避難所で過ごされる方も多くいらっしゃったように思います)、転倒などのリスクを目の当たりに感じました。

B.在宅生活での災害対策 ~訪問リハビリでお伝えしていること~

そして地域のリハビリテーションにおいて、私が上記の経験から在宅生活支援で重要視していることのひとつに「災害時にも対応できる住環境の評価と介護生活指導」があります。災害だから特記して準備するほどのものはありませんが、訪問リハビリにおいて留意していることについて、事例を交えて紹介したいと思います。


【事例紹介】

A様 90代 女性 高齢者マンション(1LDK)に一人暮らし

 現病歴 

左大腿骨頸部骨折

(手術加療にて2カ月間入院。退院直後より訪問リハビリ開始)

 既往歴 

糖尿病・胃がん


普段の訪問リハビリテーション実施時に、災害対策を意識した関わり例
 

災害に備えた在宅生活の健康管理指導

 
  • お薬手帳が普段どこにあるかの確認(意識づけと重要性の教育)
  • 服薬管理意識の教育(1週間程度の備蓄)
 

食糧の備蓄は多くある一方、服薬の備蓄に関する意識はなかったようでした。

特に低血糖にならないように、食事と同様に糖類・処方薬についても意識できるよう、指導しました。
 

住環境の評価

 

写真をご覧ください。はじめてお伺いした際の寝室兼居室です。

洋タンスには耐震用の突っ張り棒や建具はなく、絵画や衣類が積まれています。

そして、この前にベッドが配置されており、倒れてきたときにベッドに寝ていると頭部に直撃しそうな距離感でした。

そこで、ケアマネジャーさん、キーパーソンの娘さんとも協力しながら、すこしずつ断捨離し、この洋タンスは行政に引き取って頂きました。
 

 

リハビリ-No0009_1.jpg

 

災害時の対策について普段の会話の中から心がける

仰々しく「地震がきたときにはこうしましょう」と指導するよりも、こまめに、そして常に忘れないように会話の中で意識づけできるように雑談しています。

そうすると、ご利用者様からも災害対策の会話がでてきます。

写真のようなグッズがベッドの脇にいつもあるのですが、
 

利用者様「

これ、何かに使えると思って近くにおいてあるの」

作業療法士「

さすがですね!さっそくつかってみましょうよ」

利用者様「

・・・(真ん中の道具を指しながら)どうやってつかうのかしら」

作業療法士「

これは、ヘッドライトのようですね。(自分に装着してみて)こうして使うみたいです」

利用者様「

あら、電池もなかったわ。これはこうやって使うものなのね!」

 

リハビリ-No0009_2.jpg

 

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今回のお話は以上です。

東日本、熊本、そして大雪の災害も発生しています。

在宅生活を安心してつづけることができるために、対策の視点も織り交ぜながら支援できるために、支援のヒントになれれば幸いです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 

 

酒井 由香里

解説者

酒井 由香里

さかい ゆかり

えびな脳神経外科リハビリテーション科技士長 作業療法士

一般社団法人神奈川県作業療法士会 広報部対外広報班班長

2000年、昭和大学医療短期大学作業療法学科卒業後、IMSグループ横浜新都市脳神経外科病院リハビリテーションセンターに勤務。また同年より神奈川県作業療法士会広報部に所属。2017年3月に退職し、えびな脳神経外科に入職し、現在に至る。

横浜新都市脳神経外科病院在職中は、江田訪問看護ステーションの開設準備、回復期リハビリテーション病棟部門責任者、横浜新都市脳神経外科病院訪問リハビリテーション部門開設を担う。

また、神奈川県作業療法士会では広報部対外広報班班長を担当し、県内の作業療法啓発活動に従事している。

興味は地域リハビリテーション、災害医療とリハビリテーション、リハビリテーション栄養といった、在宅生活者へのリハビリテーション支援についてである。 現在はえびな脳神経外科リハビリテーション科の運営、通所リハビリテーション部門で作業療法士・音楽療法士見習いとして臨床業務中心に従事している。