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食(食べる) / 口腔ケア
2人
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情報更新日 : 2018/04/12 09:00

「食べる楽しみの支援」を行うために口腔の環境を整える ①

平成30年度の介護報酬改定で、訪問介護のサービス提供責任者の責務として、現場での利用者の口腔の問題に関する気づきを、ケアマネジャーと共有をすることが明確化され、通所介護では、栄養改善の見直しで新たに栄養スクリーニング加算が創設されます。その内容は、6カ月ごとに栄養状態について確認し、その情報をケアマネジャーと共有することが要件になっています。今までケアマネジャーが把握しきれなかった口腔衛生、摂食・嚥下機能、栄養状態に関するリスクや状況についての情報が提供されることにより、その問題や課題を分析して専門職につなげる必要があります。専門職につなげるために、ケアマネジャーに知っておいてほしい「食べる楽しみの支援」に必要な知識を紹介します。

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口腔の環境を整えるために必要なこと
 

1.

歯科の治療

食べられない原因としては、むし歯、歯周病、口腔乾燥症、摂食・嚥下障害、入れ歯の不具合等があります。このような症状がある場合は歯科との連携を図り必要な治療が受けられるようにしましょう。


歯科治療の放置による影響

むし歯・歯周病

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痛みや症状が出てきてからの受診は、むし歯や歯周病が進行している場合があり、治療が長引くだけでなく、歯を失うことにつながります。介護が必要になっても、早期発見や早期治療ができるよう定期的な歯科検診が受けられるようにしましょう。


歯を抜いたまま放置

奥歯が揃っていないと食べられるものが限られるので、低栄養になったり栄養のバランスがとりにくくなったりします。また、奥歯のかみ合わせは、体の平衡感覚を保つ役割がありますので、抜いたままにしていると転倒のリスクが高まります。前歯が抜けたままになっていると言葉がうまく話せないことで、人とのコミュニケーションがとりにくくなります。ADLの改善やQOLを高めるためには、歯を抜いたままにしないことが大切です。


入れ歯の不具合

入れ歯は、長年使っていると、口の中の状態の変化や体重減少等が原因で合わなくなることがあります。合わないまま使い続けていると調整が難しくなり、新しく作ることになってしまいます。入れ歯の不具合を放置しないようにして、入れ歯の人にも定期的な歯科受診をお勧めします。

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摂食・嚥下障害がある人への対応

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主治医またはかかりつけ歯科医に相談し、専門医療機関を紹介してもらいましょう。紹介が難しい場合は、「摂食嚥下関連医療マップ」のサイトで調べると、摂食嚥下の問題に対応できる地域の医療機関が紹介されています。また、嚥下障害があっても“外食”ができるようにと、飲食店の紹介もあります。

 

2.

口腔内の清潔の保持

高齢者の口の中の清潔を保つには、うがいや歯みがきのほかに、舌や粘膜のケア、入れ歯の手入れ等も必要です。高齢者の中には、手が動きにくくなり、思うように歯みがきができない人や自分で歯みがきができない人もいます。このような場合は、介助による歯みがきが必要になります。訪問介護や訪問看護のサービスや、通所介護の昼食後等に介護職員や看護師に歯みがきの介助をしてもらいましょう。

障害や拒否があり、歯みがきをするのが難しい場合や、なかなかきれいにできない場合は、歯科通院や居宅療養管理指導で歯科衛生士に歯みがきの指導や専門的な口腔ケアをしてもらいましょう。

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口腔清掃の実際

うがいや清拭で食べかすを取り除く

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高齢者にとって、食事の前後や口が渇くとき等のうがいはとても大切です。うがいは、口の中の食べかすや歯みがき後の汚れを洗い流す目的で行います。

歯みがき前にうがいをすると、口の中を湿らせ、食べかすを取り除くことができ、口腔ケアを行いやすくする効果があります。うがいができない場合は、スポンジブラシや口の中専用のウエットティッシュを使って拭い取ります。

うがいは、感染防止や口の周りのリハビリにもなりますので、食事や歯みがきの前後に行うと効果があります。


歯みがきで歯垢を取り除く

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歯みがきの目的は、歯垢を取り除くことです。歯垢は粘性があり、歯の表面に強く付着しているため、うがいでは取れません。歯垢を取り除くためには、歯ブラシのあて方や動かし方等に注意して正しい方法で行います。歯と歯の間等のみがきにくいところは、歯間ブラシや糸ようじ等の用具を使います。

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歯みがきのポイント

歯垢が付きやすいのは、歯ブラシの届きにくい奥歯や歯と歯の間、歯と歯茎の境目等です。歯ブラシを歯面や歯と歯茎の境目にしっかりあてて小刻みに動かします。順番にみがいて、みがき残しがないようにします。


歯みがきの自立支援

口腔ケアの介護も自立支援が基本です。機能障害等があり、自分でできない場合は、用具の工夫をすることで口腔清掃が自立できます。用具の工夫として、握力の弱い方の場合は握りを太くしたり、腕に可動域制限がある方の場合は歯ブラシを曲げたり、柄の部分に割りばしをテープで巻いて柄の長さを調整したりして使います。


舌や粘膜のケアも大切

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口腔ケアは、歯だけでなく舌や粘膜のケアも大切です。誤嚥性肺炎の原因菌は、舌や上あごの粘膜にも多く付着しています。舌の色は通常ピンク色をしていますが、細菌や食べかす等の汚れが付着し、苔状に白くなっていることがあります。これを「舌苔(ぜったい)」といい、口臭の原因になります。舌や粘膜のケアは、誤嚥性肺炎や口臭の予防にも効果があります。


入れ歯の種類と手入れ

取り外しできる入れ歯には、総入れ歯と部分入れ歯があります。プラスチックでできたものや金属を使っているもの等、いろいろなタイプがあります。

高齢になると多くの人が入れ歯を使用しています。入れ歯は、食生活、会話、残りの歯の健康維持等に大きな役割を果たしています。自分の歯と同様に、毎日の手入れが必要です。

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入れ歯の手入れ

 
  • 毎食後はずして洗います。
  • 入れ歯を外したあとは、粘膜用ブラシやスポンジブラシを使い舌や粘膜のケアをします。
  • 部分入れ歯の場合、外したあとに残っている歯をきれいにみがきます。
  • 入れ歯には、食べかすだけでなく細菌も付着しているので、歯ブラシでみがくだけでは不十分です。洗浄剤を使い細菌を除去しましょう。カンジダ菌の感染予防や口臭予防になります。

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イラスト提供:

いらすとや
歯科素材.com

 

 

 

千羽 富紀子

解説者

千羽 富紀子

ちば ふきこ

主任介護支援専門員・歯科衛生士

歯科衛生士として、財団法人ライオン歯科衛生研究所、東京都中央区日本橋保健所の勤務を経て、介護保険がスタートした平成12年からは介護支援専門員の実務に携わる。平成21年からは、地域包括支援センターにおいて、センター長及び主任介護支援専門員として勤務し、介護予防教室、特に口腔機能向上の啓発に取り組む。また、実務経験を活かし、口腔ケアに関するわかりやすい冊子や介護職向けのDVD 「知っておきたい口腔ケアの基本」の作成、知っておきたい「口腔ケアの働きとケア」、また、高齢者が使いやすい歯ブラシの開発にも携わっている。

著書;知っておきたい口腔の働きとケア   共著 金沢紀子・千羽富紀子
企画・編集;一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会  発行 平成29年2月14日