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認知症 / Dr.尾﨑の介護の医学知識
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情報更新日 : 2018/03/26 09:00

前頭側頭葉変性症

昨年9月の新聞に次のような記事が掲載されていました。万引きで逮捕・起訴されていた72歳の男性が、前頭側頭型認知症と診断され無罪となりました。物忘れが目立たなかったため、家族も気づけなかったそうです。今回はこの前頭側頭型認知症を含む、前頭側頭葉変性症を取り上げます。

1.臨床分類

臨床的には以下の3型に分類されます。このうち行動障害型前頭側頭型認知症と意味性認知症は指定難病に組み入れられています。

 

(ア)

行動障害型前頭側頭型認知症

記事概要の男性はこのタイプですが、当初は記憶障害は目立たず、万引きなど社会的に不適切な行動を繰り返します。また本人には不適切な行動をしている意識はありません。診察の途中で突然、立ち去ろうとしたり(立ち去り行動)、毎日同じ時間に同じルートを晴れの日も雨の日も散歩しないと気が済まない(常同行動)などの症状が見られます。

上記のような症状は身体機能の低下とともに減少し、発症後6~8年で寝たきり状態になると言われています。

MRI・CTでは前頭葉優位で前頭葉と側頭葉の萎縮を認めます。

 

(イ)

意味性認知症

言葉の意味がわからなくなることが特徴です。「電卓」を提示しても「電卓」と呼称できず「見たことない」「数字が書いてあるな」などと答えたりします。アルツハイマー型認知症に見られる健忘失語と異なり、正しい名称を与えても、あたかも初めて聞いたような反応が見られます。

また団子を「だんし」、海老を「かいろう」と読み間違える表層性失読と呼ばれる症状も見られます。

有名人やたまにしか会わない人物の相貌の同定が困難となる症状も見られます。

MRI・CTでは側頭葉前部に萎縮が目立ちます。(図)
 

 

(図)意味性認知症のMRI画像: 左の側頭葉の萎縮が目立つ
介護の医学知識_No0009-1.jpg介護の医学知識_No0009-2.jpg

 

(ウ)

進行性非流暢性失語

誤った文法で話したり、日本語にないような発音をするなど、言葉の障害が主な症状です。発話に努力が必要で、発話の開始が困難、しばしば言葉が途切れるなどの症状があります。たとえば「病院には車で来た」という時に、「ぶ…ぶ‥びょういん…のは…きゅるま…きた」といった話し方になります。

MRI・CTでは左前頭葉後部から島優位に萎縮を認めます。

2.薬物療法

今のところ十分な効果が示された薬剤はありません。

保険適応外ですがSSRIという抗うつ剤の一種が常同行動や強迫的訴えに有効であるという報告があります。

アルツハイマー型認知症に使用する薬剤の有用性は今のところ否定的意見が多く見られます。

3.非薬物療法

行動障害が前景に立つ前頭側頭葉変性症は、常同行動や脱抑制などの行動異常が病初期から認められますが、一方初期には記憶障害や視空間障害は目立ちません。これらの特徴を利用することで、行動異常の軽減や介護負担を減らせる可能性があります。例えばある常同行動に介護者が困っているとして、通所サービスに通うことを常同化することができれば介護負担を減らすことができます。

また前頭側頭葉変性症の介護者はアルツハイマー型認知症の介護者よりも介護負担が大きくなっていることが報告されています。介護者が出現している症状の病態理解を手助けすることや対方法を指導することが大切です。また指定難病になっており、適切な医療費助成の申請方法について説明することも大変重要です。

 

 

尾﨑 聡

解説者

尾﨑 聡

おざき さとし

えびな脳神経外科院長

医学博士

山口大学医学部

山口大学医学部大学院卒業

日本脳神経外科学会専門医/日本脳神経血管内治療学会専門医
/日本脳卒中学会専門医認知症サポート医/脳梗塞rt-PA適正使用講習受講

山口県・茨城県・神奈川県にて臨床経験を重ね、
平成15年より横浜新都市脳神経外科病院に勤務
平成23年に同院脳神経外科部長に就任
平成26年えびな脳神経外科開院

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