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くすり / 薬に関する実例集
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情報更新日 : 2018/01/09 09:00

「在宅における高齢者の薬の問題12」主作用と副作用②

薬局 ルンルンファーマシー 主作用と副作用

問題


先日、介護職向けの薬の研修会を行いました。

研修会の後、個別で「薬」に関する質問を受けました。

介護職がケアに当たる場合は、前回お話ししたように副作用にしても現場判断は許されていません。

現場は、医療・介護・福祉の連携で確立されています。
 

くすり
 

個別相談の中に、副作用の相談が多数ありました。

現場で困っているのは、よくある副作用を医療職に伝えても、すぐに指示が返ってこない、など連携の問題も発生しているようです。
 

よくある副作用
 

重大な副作用
 

上記にあるように、副作用の症状は、患者様の疾病からくる症状なのか、薬の副作用からくる症状なのか経過を見ないと判別しにくい副作用もあります。

また、高齢者は多くの疾病を持っているため、ポリファーマシーによる相互作用なのか、肝臓・腎臓の機能が落ちているために副作用が起きているのか、検査値など、医療側の見極めに時間がかかることがあります。

しかし、重大な副作用は症状が急激に進み、命にもかかわるために、医療側からの指示により、早く良い対応をする必要もあります。

 

今回は前回の続きとなります。

こんなとき、副作用の可能性を考えてみましょう!(2回目)


④不眠・眠気

ここでは、薬の副作用による不眠・眠気について考えてみます。

食べること、寝ることそして排泄することは私たちの基本的営みですが、不眠・眠気による病状の悪化、日常生活動作の低下、介護負担の増加などが問題となります。

 

薬の副作用からコンコンと眠り続け……
 

Kさん(87歳、女性。要介護3。高血圧、アルツハイマー型認知症)

Kさんは娘さんと二人暮らしです。

訪問したとき、認知症はかなり進んでおり、日中独居となるKさんの服薬管理はじっくり腰を据えて取り組む必要がありました。

就労している娘さんとしては、翌日の仕事のことを考えるとまず夜間の徘徊をどうにかしてほしいとの訴えがありました。

主治医との相談の結果、抗精神病薬を、副作用も考慮に入れて少量から使うことになりました。

ところが初回服用の晩、少量の処方にもかかわらず必要以上に効果が出てしまい、Kさんは1日半の間コンコンと眠り続けました。

トイレにも行けず、尿・便で下着も布団も汚染されていました。

薬の効果や副作用は個々人によって違ってきます。

抗精神薬を使うときは、医師は疾病・臓器の機能などを配慮して処方薬を決めていきます。
 

  • 対応

認知症からくる夜間の徘徊に、抗精神病薬を使う場合は、少量から始める必要があります。しかしこの事例のように、薬の効果は個人差があり、初回服用の場合は観察と医療との連携が必要です。また、薬についての注意事項をきちんと聞く必要があります。

 

眠気をおこす可能性のある薬

睡眠薬  その人の睡眠障害と薬が合っているか?

   メイラックス

向精神薬  体に慣れるまで眠気が出ることがある

   デパス

中枢神経系の薬  抗てんかん薬など、眠気がおこり傾眠傾向になることがある

   テグレトール

高血圧治療薬

  

眠気がひどく、転倒事故発生のリスクから、違う種類の高血圧治療薬に変更することがある

   アルドメット

麻薬  眠気・呼吸抑制・便秘などの副作用に慣れるため、少量から開始する

   MSコンチン

パーキンソン病治療薬  眠気・吐き気などの副作用に慣れるため、少量から開始する

   カバサール

抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬  風邪薬や花粉症治療薬の眠気など

   セレスタミン

 

不眠をおこす可能性のある薬

脳代謝賦活薬  脳梗塞後遺症の高齢者によく処方される

   シンメトレル

強心薬・偏頭痛治療薬  カフェインの入っている薬

   カフェイン

パーキンソン病治療薬  パーキンソン病の治療によく処方される

   メネシット

脂質異常症治療薬  脂質異常に処方される

   リピトール

 

⑤排尿障害

自律神経の支配は全身に及び、排泄は自律神経によって支配されているため、循環器や呼吸器、消化器などの疾患に使われる薬のすべてが、副作用として排泄に影響する可能性があります。

参照「排尿は待ってくれますか?

 

⑥せん妄・幻覚

昨日まで元気に話していた高齢者が、急におかしな話をしたり、カーテンの後ろに人がいるなど、ないものが見えたり聞こえたりする幻覚・幻聴の話をすることがあります。

これらは認知症の初期症状の場合もありますが、薬の副作用からくるせん妄・幻覚であることもあります。

 

せん妄・幻覚をおこす可能性のある薬

パーキンソン病治療薬  虫が見えたりする

   ドミン

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬  多用されている睡眠薬

   メイラックス

副腎皮質ホルモン薬  精神変調やうつ病の発症

   プレドニン

非麻薬性鎮痛薬  麻薬の次に強い痛み止め

   ソセゴン

胃酸分泌抑制薬  薬をやめれば副作用はなくなる

   ガスター

脳代謝賦活薬  脳梗塞後遺症の高齢者によく処方される

   シンメトレル

抗ウイルス薬  帯状疱疹の治療に用いられる

   バルトレックス


せん妄は入院や入所、引っ越しなどの環境の変化によってもおこる可能性があるので、高齢者の状態をよく観察する必要があります。

また、パーキンソン病治療薬の場合は、幻覚の副作用があっても、日常生活動作の確保から服用を続ける必要があります。急に服用を中止すると、悪性症候群のような命にかかわる症状が出ることもあります。

 

⑦食欲不振

高齢者にとって、食欲の低下は体力を消耗し、二次的に疾病をおこす可能性があります。食欲をなくす原因としては、次のような副作用が考えられます。
 

a. 食べたくない

食欲をなくす薬…パーキンソン病治療薬、鎮痛薬、気管支拡張薬(β2刺激薬)

うつ傾向になる薬

交感神経に作用する血圧の薬、精神安定薬、パーキンソン病治療薬、副腎皮質ホルモン薬


b. 吐き気などで気持ちが悪く、食べたくない

吐き気の出る薬

パーキンソン病治療薬、抗うつ薬、喘息治療薬、麻薬、アルツハイマー型認知症治療薬


c. 味覚に異常があり、食事がおいしくない

味覚異常のある薬…抗リウマチ薬、ACE阻害の降圧薬

口のなかが苦くなる薬…アモバン(短時間型睡眠薬)


d. 口のなかがいつも渇いていて、食事が食べづらい

口渇の副作用をもつ薬

抗コリン薬(パーキンソン病治療薬、排尿治療薬、胃腸薬)、抗ヒスタミン薬


e. 胃が痛くて食べられない

胃腸障害のある薬…鎮痛薬、骨粗鬆症治療薬


f. 口のなかに口内炎などのできものがあり、食べたくない

歯肉炎・口内炎ができやすい薬…Ca拮抗薬の降圧薬、ステロイドの吸入薬


g. 手が震え、食事がうまく口へ運べない

振戦の副作用のある薬…吐き気止め


h. 下痢をしていて食べたくない

下痢をおこす薬

経腸栄養薬、胃酸分泌抑制薬、消化管運動改善薬、抗生物質、抗菌薬、化学療法薬、ビタミン類

 

⑧視覚障害

高齢になると、水晶体が濁って物が見づらく、生活に支障をきたすことがありますが、さらに薬の副作用として、物が見えにくくなることがあります。

物がよく見えないと、
 

a. 転倒の危険

b. 住環境が不衛生になる

c. 活動性が低下する

d. 食欲が減退する
 

などの弊害が出てきます。

 

視覚障害をおこす可能性のある薬

抗コリン薬

  

胃が痛むときや、胃カメラや胃レントゲンの検査をしやすくするために胃の活動を抑える薬は、物が二重に見える

   ブスコパン

抗不安薬  ふらついたり、物が二重に見えたりする

   コントミン

パーキンソン病治療薬

  

パーキンソン病初期に使うアーテンなどの抗コリン薬は、物が二重に見える

   アーテン

散瞳薬の点眼液  目薬で瞳孔が開いているうちは、まぶしさを感じる

   ミドリンM

副腎皮質ホルモン薬  緑内障や霧視で始まる白内障

   デカドロン

そのほか…強心薬、高血圧治療薬、利尿薬、鎮咳薬など

 

 

藤澤 節子

解説者

藤澤 節子

ふじさわ せつこ

薬局 ルンルンファーマシー 代表取締役

薬剤師・主任介護支援専門員

1973年 北里大学 薬学部薬学科卒、94年10月より調剤室から在宅に飛び出し、以降、訪問薬剤師として在宅医療に従事。

現在、NPO法人DANNKAIプロジェクト副理事長、武蔵野市薬剤師会 監事としても活躍。

主な著書

『介護者が知っておきたい薬のはたらきとつかいかた』(中央法規出版)

『知っておきたい薬の正しい使い方』(社福協)